「財政」を理由に耐震工事をしないのは「罪」

今日も「熊本地震」のことを書きます。16日未明の大地震で熊本県宇土市の市役所の本庁庁舎が半壊しました。テレビでご覧になった方もいると思いますが、4階部分が押しつぶされたようになっていました。

新聞の記事によると、本庁舎は約50年前に建てられ、十数年前の耐震試験で「震度6や7の地震には耐えられない」との結果が出ていたとのこと。だが、財政上の理由から建て替えを先延ばししてきたが、東日本大震災後、建て替え議論が本格化し、職員内での検討が進められていたそうです。

50年ほど前に建てられた建造物が、耐震試験の結果、震度6~7の地震では耐えられないとわかっていたのに、財政を理由に建て替えを先延ばししてきたというのです。

私は、このように、耐震試験の結果、耐えられないと判断されているものを「財政」を理由に先延ばしするのは、「罪」だと思います。

もし万が一、死者が出たならば、この先延ばしを判断した人は全員、「殺人罪」が適用されても仕方がないと思います。というのも、市役所とは、職員はもとより、平日であれば一般の市民も、住民票や各種証明書の申請などに、窓口に並んでいることだろうし、いざ災害となった場合には、救助、復旧の最前線の司令塔となる場所です。そこが機能しなくなるのは、前代未聞としか言えません。

東日本大震災では、津波で役所が流されたところが少なくなかったですが、直ぐ、仮設の役所を建てて、住民の安全確保にあたりました。やはり、司令塔となる安全な場所がないと、その後の復興プラン作りにも影響しそうです。

戦国時代は、城がその役割を担っていました。だから、いざ戦が始まっても、そこだけは絶対に守るという建造物を作ってきたと言われています。すでに、日本全国には、耐震試験で「即補強、建て替え」という判定が出ている公共の建物、橋、道路、トンネル、ダムなどが多々あります。特に、昭和40年代の高度経済成長期に建てられたこれらの建造物は、もはや50年の月日が経っています。

今回の「熊本地震」を見ても、「財政」を理由に延ばしていることはいかがなものでしょうか?国も地方も財政難という事情はよくわかりますが、災害は待ってはくれません。それではいざという時、住民の命は守れなくなります。思い切った発想の転換や、財政措置が急務だと思います。地域の情報が集まる所も、指示をだすのも、やはり住民に一番近い役所しかないのですから。