「会社にとって有益な社員とは?」と尋ねると、ほとんどの経営者は「仕事ができる社員」「ミスや失敗をしない社員」などと答えるでしょう。
しかし、一部上場会社のCEOも務められた、小山会長は、ミスや失敗をしない社員が必ずしも会社の役に立つとは限らないと言うのです。「仕事でミスや失敗をしたことがない社員なんて、私は信じない。それは仕事に全精力を注いでいない証拠だ。」と言い切りました。
人はどんなに注意を払っても間違うものであり、仕事に打ち込めば打ち込むほど、その確率は高くなると言います。仕事でミスや失敗を一度もしたことがないと自慢したり、周囲にそう思わせる社員は、結局のところ力を出し惜しみして働いているか、ミスに気づかないダメ社員で、こういう社員はいずれ会社に損害を与える大きな失敗をすることもあるのではないでしょうか。問題が起きてもすぐに適切な対応が出来て、その体験を次の仕事に活かせる社員こそが、会社にとって有益な社員のはずです。
しかし、多くの経営者が理屈ではわかっているのですが、死活のかかる企業経営では、ついつい失敗は避けねばならないものになります。ですから経営者や上司の中には、社員や部下の些細なミスや失敗を厳しく咎める人も少なくありません。このような姿勢は社員を委縮させるだけです。社員は仕事より上司の顔色を伺うことに汲々として、ガムシャラに働く意欲を失くしてしまいます。失敗して怒られるより、周りと同じ程度の仕事をしている方が楽だからです。ただし、社員同士が競争しない会社や、仕事より社内の人間関係に多くの手間を割かなければならない会社は当然、業績アップが見込めません。
小山会長の場合、仕事上のミスを隠したり適切に対応できない社員、同じ失敗を何度も繰り返す社員には厳しく接するそうですが、全力で仕事に打ち込む社員のミスや失敗を咎めることはないそうです。間違いを恐れず、ガムシャラに働いてほしいということなのでしょう。仕事のミスや失敗は仕事で取り返すしかありません。その経験を次の仕事に活かせばいいのです。