真剣になると知恵がでる

GWもそろそろ終わりですが、やはり、子供と行く行楽地の常に上位にくるのが「動物園」ではないでしょうか。我が家でも子供が小さい時は、仙台や盛岡の動物園に連れて行った記憶があります。

今日の新聞に、その動物園の業績回復の話が載っていたので紹介します「真剣になると知恵が出る。中途半端だと愚痴が出る。やる気がないと言い訳が出る。」といわれますが、業績がジリ貧の組織を従業員の知恵で再生した横浜市の動物園の再建ストーリーです。

横浜市立野毛山動物園は1951年開業。広さは横浜スタジアムの約1.2倍で、動物数は100種類、1,500頭で、横浜市にある三つの動物園のうち「小さな子供が初めて動物に出会う園」というコンセプトのようです。この動物園に転機が訪れたのは2008年で、入園者数が現在の半分にまで落ち込み、更に、市直営から「指定管理者」方式に切り替わり、経営努力を求められるようになった経緯があります。

一時期マスコミで多く取り上げられた、動物の自然な生態が見られる行動展示を実施して、一躍有名になった、北海道旭川市の旭山動物園を真似て、この動物園でも同じ展示方法を検討しましたが、施設の老朽化に伴い、展示方法を変更するには、莫大な改修費が掛かることが判明、ならば、お金をかけないで出来ることはないか、連日、深夜まで会議が行われたと伝えています。

そして、再建の為にでたアイデアは、飼育員がガイド役となって「餌やり」の時間に動物の生態を説明する新しい展示方法だったのです。しかし、初めは経験したことのない仕事に戸惑った飼育員もいたそうです。園長曰く「飼育員の中にはしゃべるのが苦手なひともいます。来園者とのやりとりで手間と時間がかかり仕事が増える。しかし、議論を重ねた結果、(来園者が増えるなら)ということで、快諾してくれました」とこの時が、勝敗の分岐点だったと語っています。

そして、その他にも、近くの繁華街を回りポスターを貼ってくれるように頼みこんだり、母親と子供の交流施設に出向き、動物の飼育の話をして園をPRしたりする試みを試すようになり、遂に、リピーターも増え始め入園者数が、2011年度には76万人に、2015年度には109万人と32年振りに100万人を突破したそうです。

やはり、人間というものは土壇場になると知恵や閃きがでてくるものです。その知恵や閃きも真剣に思い悩み、考え抜いたからこそ湧き出たものだと思います。そして、組織の中で仲間と共に、真剣に議論したことが功を奏したのでしょう。

この動物園が入園者数が増えたことで、有料化をする動きがみられましたが、横浜市長がこのように述べています。「家族の楽しみや幸せのために、無料化を続けることには意義がある」として、有料化を見送るそうです。なかなか粋な計らいですね。行政もやれば出来るんですよ。