ハイコンテクストORローコンテクスト

先日、パブリック・リレーションズ(広報・広聴)の専門家から聞いた話です。日本は世界的にみて最もハイコンテクストな社会だそうです。ハイコンテクストとは、意思疎通を図る上での基盤となる言語・体験・知識・好み・価値観などの共有性が高いことをいいます。いいかえれば、直接伝えるための努力をしなくても、何となく察することのできること、あうんの呼吸が通用することです。

確かに言われてみれば思い当たる節がありますよね。日本では行間に多くの意味を含ませることを好み、直接的な表現を嫌う傾向があります。あうんの呼吸もそうですし、「空気を読む」や、「ツーカーの仲」、「沈黙は金」などそのような傾向を表す言葉もいくつもあります。(反対に空気を読めないことを、最近では「KY」といって揶揄していたこともありましたし。)

一方でローコンテクストな地域は、スイスやドイツ、北欧だといわれているそうです。これらの地域は直接的な表現で正確に伝えることを好み、曖昧さを嫌う傾向があります。

もちろんこれは、どちらが良い、悪いの話ではありません。ただグローバル化の進展によって違う国や地域の方々にも物事を正確に伝えるため、異なるコミュニケーションスタイルについても勉強する必要があると認識させられました。

日本人とアメリカ人が会話をすると、アメリカ人が盛んに話し、日本人が聞き手にまわっているのをよく見かけます。その理由は、一般には英語で会話しているからだと考える人が多いと思います。ところが実際にはアメリカ人と日本語で会話をしても、相変わらずアメリカ人の話す割合が圧倒的に多いのです。1日の会話量を計測したある調査データによると、平均してアメリカ人は日本人の2倍の量を1日に話すそうです。 ローコンテクスト社会では、日本人が想像する以上に、言葉によるコミュニケーションが重要視されているのです。そんな昨今、私の年代からでも英会話にチャレンジしている経営者幹部の方が増えているそうです。