LINEの上場、そして功罪

無料通信アプリ大手のLINEが、昨日15日、東京証券取引所に株式を上場し記念の式典が行われました。初日の終値を基にした時価総額は9100億円余りとなり、今年に入ってから最大の上場となりました。

LINEは14日、ニューヨーク証券取引所にも株式を上場し、日本とアメリカの同時の上場で会社の知名度を上げるとともに、調達する資金で海外を中心に広告や営業戦略を強化し、新たな市場を開拓する狙いがあるようです。サービスを開始してから5年で利用者は国内で6070万人、全世界で2億1840万人に上るということです

サービス開始のきっかけとなったのは、2011年の3月に発生した東日本大震災です。被災地を中心に電話がつながりにくくなったことが大きな問題となり、携帯電話回線を効率的に使える通信アプリでメッセージの送受信を無料で提供するというアイデアが生まれたといいます。送ったメッセージが相手に読まれたことを示す「既読」の機能も特徴です。被災地で相手がメッセージを返信する余裕がなくても無事を確かめられる機能として付けられました。

また当時は、携帯電話の契約者のうちいわゆるガラケーの利用者が80%以上を占めていましたが、LINEはいち早くスマートフォン向けのサービスを提供し、その普及に合わせて利用者が年々拡大しました。利用者の拡大を後押しする形となったのがお互いの感情や表情が表現できるというスタンプと呼ばれる機能です。スタンプは、若い利用者の間で特に人気を集め、さまざまな企業も独自に提供するようになりました。

もはや、老いも若きもスマホ片手にLINEに興じているようですが、その影に思わぬ落とし穴があり、今、社会問題にもなってきました。

今年の2月に熊本の女子高生がLINEでのいじめを苦に自殺しました。実は同様の話が宮城や岩手の高校でも起きているのです。LINEは気の合った仲間や家族同士がグループを組んで、その中でグループ全員がリアルタイムでやり取りできる便利な機能も付いています。しかし、このやり取りが問題なのです。熊本の女子高生の場合、グループを組んでいる全員が一人を集中的に攻撃していたということです。

また、栃木ではなんと「ママ友」同士のLINEのやり取りで、厳しい言葉を浴びせられた小学生を持つ母親が二人も立て続けに自殺したといいます。LINEだけが原因ではないようですが、それにしても精神的なダメージは計り知れなかったようです。

私の子供達が通う中学校でも、夏休みを前にスマホの使い方に注意するように指導がありましたが、便利なツールは子供達もすぐに夢中になります。このような、陰湿な「いじめ」から大切な子供達をいかに守っていくか、地域と学校、そして父兄が緊密に連携しながら「いじめ」の芽を早期に摘み取っていかなければいけません。