昨日に引き続き、不動産取引に関しての話です。
特に日本の商慣行を指摘しているのは、言うまでもなく、外資系の不動産会社です。アメリカでは、仲介業者は、「バイヤーズ・エージェント」「セラーズ・エージェント」という立場に分かれて、片手取引が主体に行われていいます。
エージェントの役割は、クライアント(売り手、または買い手の一方)の立場となって先方との交渉を有利に進めることです。仲介手数料は、売り手が買い手に支払う購入代金の6%を、双方のエージェントが折半(3%+3%)する形がとられています。
当然、日本の場合、大手の不動産会社や力のある不動産会社は、両手中心の取引をしています。両手取引は、外資系にとっては、大きな参入障壁になります。正当な競争環境とは言いがたいというものです。
さらに、「専任媒介」という契約を結ぶ会社がたくさんあります。「専任媒介」とは、不動産を売ろうとした場合、その会社以外に売り先を探してもらう依頼ができないのです。
もし他社の媒介で契約が成立すると違約金が発生します。「専任媒介」契約後、売主が自分で買主を見つけたとしても、営業経費など費用を支払う必要があります。
こうした「専任媒介」制度も、両手制度と同様外資系企業は参入障壁になって、日本市場は正当な競争環境ではないと判断されても仕方がありません。
このように、TPPの本来の目的は、単なる自由貿易だけではありません。アメリカ的ルールを環太平洋地域、そして更には、中国やインドなども含めたアジア全土に張りめぐませることにあります。
ですから、自由の国であるアメリカのルールと違うところは、日本にもそのルールを適用するように多岐に渡って迫ってきます。これは過去の歴史を見ても、どんなときも押し切られてきましたし、今回も恐らくそうなるでしょう。
ですからあらゆるビジネスのルールがアメリカ的にルールに変わる可能性があります。そして、それはTPPに挙げられている項目だけに限らないという話もあります。
~続く。