「助け合い」の遺伝子をONにする

先日テレビの特集でイルカの研究についての特集がありました。イルカには、自分とは血のつながりのない子供を育てる「里親行動」がみられることが、伊豆諸島の海で世界で初めて確認されたという内容です。

生まれてすぐに母親を亡くした赤ちゃんイルカを、血縁関係のない別の若い雌イルカが一緒に連れていたそうです。

若い雌のイルカが赤ちゃんに興味を持って並んで泳ぐことはあるそうですが、一定期間一緒にいることはこれまで確認されていませんでした。専門家によると、イルカには弱っている個体を助ける特性があり、そうした特性が今回の行動につながったのではないかとのことです。

このように高等動物とされているイルカですが、独自の群れで暮らすイルカの行動に関する研究は、人間社会における「助け合い」のルーツを紐解くヒントともなりうると注目されているそうです。

しかし、今や人間社会の「助け合い」の精神はどこにいったのでしょうか?もしかして、人間の遺伝子は突然変異してしまったのでしょうか?

隣に住んでいる住人の顔も知らない。また、一人暮らしのお年寄りの孤独死などにも無関心、こんなに人間関係の問題が数多く発生するのはなぜなのでしょう。

また、本来助け合うべき隣人なのに、政治的、宗教的違いから、かくも無残に、そして容赦なく、虫けらのように惨殺するのは何故なのでしょうか?

そして、世界のどこかで行われている戦争や紛争。時の為政者の大義のために、多くの若者が戦場に駆り出されているのが現状です。そして、一人でも多く敵国の兵士を殺戮した人が、名誉?ある勲章を与えられ、英雄にまつり挙げられます。

日本の諺に「困った時はお互い様」や「袖振り合うも多生の縁」など隣人に心を寄せる気持ちがあふれている言葉があります。3.11のあの時も、みんなで飢えをしのぎ、少ない食料を受け取るにも整然と並んで皆で分け合ったあの時。きっと、本当は「助け合い」の遺伝子が細胞の片隅に隠れているはずです。

イルカに限らず地球上の動物の生態にはまだまだ解明されていない部分がたくさんありますが、今後も様々な角度から動物の実態が一つずつ明らかになることを期待します。

そして、このイルカの研究を見て、改めて我々人間が本来持っていた「助け合い」の遺伝子がOFFからONになることを、切に願わずにはいられません。