今日ついに宮城県に桜前線が上陸しました。宮城県南の桜の名所として知られる白石市の白石城のソメイヨシノが開花したそうです。去年より2日早く、過去10年間で最も早い開花となったそうです。城内では、彼岸桜やしだれ桜も咲き始めたようで、4月2日からは、夜間、ライトアップも楽しめるそうです。
そして、お隣の岩手県陸前高田市では、あの有名な「桜ライン311」の「河津桜」が、先週から開花しているとのことです。「桜ライン311」は、過去にも大津波が襲った記録や痕跡があることが忘れられていた反省から、津波の到達地点を桜で示して後世に伝え、花見をするたびに震災を語り継いで、記憶の風化を防ごうと取り組んでいる大がかりなプロジェクトで、震災のあった2011年11月に植樹を始め、今年で累計1,000本に達したそうです。しかし、目標は1万7,000本、全長170kmの壮大な桜ラインの完成をめざしているとのことです。
さて、我がふる里、気仙沼の桜はどうでしょうか?もはや蕾も膨らみいよいよ開花も秒読み段階のはずですが、もはや、「桜まつり」が行われていた、大川の桜は、堤防工事の為、見る影もなく、もう一つの名所の神山川の桜も今年いっぱいで、これまた、堤防工事の為、伐採。桜並木を散策する風情もなくなってしまいました。
私は、桜をみると毎年思い出すことがあります。私の知人に、震災後のあの大津波の時、大川の桜の枝に必死で掴まって九死に一生を得た方がいます。その方に聞いた話だと、力尽きて流された方も何十人もいたそうです。私もあの震災で、多くの友人、知人を失いました。あの悔しさは今も何一つ変わることはありません。失われていった命の重さも何一つ変わりません。5年という月日は、人を癒す時間でもありますが、一方で傷を深くする時間でもあると思っています。被災地では、東日本大震災は今も続いています。
長く辛い、そして厳しい冬があるから、あの薄紅色の桜が人々の心を癒すのだと思います。私自身も会社もまだまだ、辛く厳しい冬の真っただ中です。この暗く長いトンネルから一日でも早く抜け出し、心から桜を愛でる日がきっと来ることを祈りながら、そして、心半ばで亡くなられた犠牲者のご冥福を祈りながら、今年も桜の季節を迎えました。