このブログを見ていただいている方々に質問です。皆さん「ホヤ」は好きですか。
今が旬の「ホヤ」ですが、その形状から「海のパイナップル」とも言われています。我が家でもこの時期になりますと、週に2~3回は食卓に並びますが、子供達は苦手なようです。私も子供のころはあの独特の苦みが苦手で好んで食べようとはしませんでしたが、お酒を嗜むようになってからは、「ホヤ」特有の磯の香と食感が病みつきになりました。
「ホヤ」の一大産地である、ここ三陸地方ですが、今年の夏は暗いニュースばかりが目立ちます。
その訳は、宮城県で養殖された「ホヤ」は全国の8割を占めますが、震災直後、養殖施設が壊滅し、その後、様々な支援を受けながら再開にこぎつけ、やっと今年、震災後に養殖を開始してから、立派に育った3年~4年ものを廃棄処分しなければならなくなりました。
なぜ、そのようなことが起こったのか?東京電力・福島第一原発の事故よる放射能汚染を懸念している、「ホヤ」の最大の輸出国である韓国が輸入禁止を継続したままだからです。
もちろん水揚げの度に放射能検査を実施し、問題がないことは立証済みです。韓国に出荷出来なければ、輸出する国はほとんどありません。それを国内に流通させたら、それこそ、国内価格の下落が待ち受けています。今年はやむを得ず一万トンの廃棄を決めたそうです。
このことは、被災した漁業者や企業も同じことです。もちろん丸光製麺も取引先がなくなれば売上が減少の一途。最大の販売ルートが受け入れてくれなければ、産地や企業は縮小していき復興どころではありません。
韓国や中国では今尚、被災3県の海産物を禁輸措置としています。今回のこの「ホヤ」の廃棄処分問題で、宮城県漁協は東京電力に対して処分費用などを賠償請求する方針だといいます。
震災と原発事故の二重苦に、5年が経過した今でも痛めつけられるのでしょうか。三陸海岸はその他にも「わかめ」や「カキ」「ほたて」などの養殖が盛んな地域です。長引く禁輸措置は復興を加速していかなければならない今、急ブレーキをかけられたようなものです。
人間に子猿を奪われた母猿が悲しみのあまり、内臓が張り裂けて死んでしまったという中国の故事から「断腸」という言葉ができたそうです。
震災後の復興を目指して、海に生きる人々が情熱をこめて育ててきた「ホヤ」だけに、廃棄処分の決定は「断腸の思い」であったのではと・・・。
震災から5年。今に及んで「炉心溶融」という言葉は官邸が使うなと言ったとか言わないとか。その他にも原発事故のマニュアルが後から出てきたとか、いろいろ問題点が指摘されている原因企業ですが、我々被災者はあなた方に対して「断腸」「はらわたが煮えくり返る思い」であることだけは、決して忘れるなと言っておきます。