衣に包まれて調理される「天ぷら」の秘密・最終回

今週は、揚げ物の話が続きましたが、今日で最終回です。今しばらくお付き合いください。

晩御飯のおかずや、お弁当のおかずの代表的な揚げ物に「コロッケ」があります。今や、冷凍食品や、スーパーのお惣菜コーナーなどでも、様々な種類のコロッケが売られています。基本的な作り方は食材によっても変わりますが、打ち粉やバッター液+パン粉で揚げられています。

そして、パン粉もクラッカー粉やドライパン粉、生パン粉など用途によっていろいろな商品があります。パン粉は揚げ油を多く含んでしまうため、油の選定も重要になってきます。お肉屋さんの「コロッケ」が美味しいのは揚げ油に「ラード」を使用しているからと言われています。

一方、具材の水分と保存温度により衣がパンクする場合があります。衣を厚くすると加熱時にはそれが温度境界層となり、表面の色付きと芯温とのバランスがとれなくなるので、「トンカツ」等では低温と高温の二度揚げがお薦めとなっているようです。

以上のように一口に衣をつけるといっても画一的な衣の付け方ではうまくいかず、食材の特性をよく吟味して、「水分」「形状」「味」といった要素を考慮して調理する必要があります。

揚げ物の話の最後に一言。私たち人間も普段は、服装や装飾品で着飾ることが好きな生き物ではありますが、中身があっての「衣」でありたいものです。